日本の発酵食品はお米や麦などの炭水化物を使うことが多いため、まずはでんぷんを小さくしなくちゃいけなかったと前回お話ししました。では、むかーしむかし、まだ麹菌の存在に人間が気が付く前はお酒はどのようにつくられていたのでしょうか?

麹菌のかわりは、人間?!唾液アミラーゼで作るお酒

驚くべきことに、でんぷんを小さくする役割は、人間がしていました。人間は唾液の中に、唾液アミラーゼという糖質分解酵素を持っています。この酵素を使って、でんぷんを分解しようというわけです。

でんぷんを持つ食べ物を水につけてやわらかくし、口に入れて噛み、ぐちゃぐちゃにします。この過程で唾液中のアミラーゼがデンプンを分解し、単糖類であるブドウ糖まで小さくします。(これを「糖化」と言います) これをぺっと吐き出してためておくと、ブドウ糖が大好きな野生の酵母が寄ってきて、発酵させ、お酒になります。できたお酒は、にごっていたそうです。確かにいろんな酵母がルール無用で作ったお酒、透明にはなりようがなさそうです。 笑

口噛み酒は神様にささげるお酒

この時代のお酒は、決して味を楽しんだり、酔っ払って現実逃避をするためのものではありませんでした。実はお酒は神様にささげるものでした。ですから、この噛む役割は、巫女さんがしていました。神聖なお酒だったのです。この口噛み酒は、日本だけではなく、アジア各地、それも米などのでんぷんが多い国で作られていたそうです。

お酒と女性の関係は深い・・・沖縄の西表島

大正時代まで沖縄の西表島では、口噛み酒が造られていたといいます。炊きあがったお米を女性が噛んで、噛み終わったら吐き出し、石臼で挽き、泥状にし、甕(かめ)に保存します。やっぱりお酒造りは女性の仕事でした。このお酒のことを、沖縄ではウンシャク酒と呼んだそうです。

日本酒のルーツをたどると、女の人とふかーい関係が見えてきました。酒造りと言えばかなりの体力仕事で、男性が力ワザでつくっていたと思いがちですが、実は女性の仕事だったのですね。なんとなく親近感がわいてきます。笑


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