麹菌は、少しよくある他の菌たちとは違う役割をしています。少し順番がチガうというか・・・発酵菌のレギュラーである、乳酸菌、酵母、酢酸菌の前にいてくれるとありがたいのが麹菌です。
前回の記事、「世界の三大発酵とは?(http://hakkougee.com/?p=94)」にも書きましたが、乳酸菌→酵母→酢酸菌という活躍の順番は多くの場合、変わりません。
登場する菌が活躍する順番は、もう決まってる
糖が大好きな乳酸菌がわーっと糖を食べに来て、遠慮深げな酵母は、その次に残りの糖を食べにくる。そして酵母が出したアルコールを求めて酢酸菌がやってくる。酢酸菌は糖には興味がないので、最初になることはあまりないし・・・逆に酵母がアルコールを出してしまってからは、乳酸菌は特に寄ってくる理由がない・・・という具合です。
じゃあ、その一番最初の糖は誰が作るのか・・・?その役割を担ってくれるのが、麹菌なんです。
麹菌はスターター!他の菌のためのエサ作りが仕事
麹菌は、自分が出す酵素で、でんぷんなどの大きな多糖類を、ブドウ糖などの単糖類まで小さくすることができます。小さくしないと彼らの小さい口には入らないので、自分たちの口に入る大きさに細かくすることができます。
日本の主食はお米です。だから、日本の発酵食品はやっぱりお米を使うことが多いんですよね。お米には多糖類であるでんぷんが多く含まれているため、細かくしてくれる麹菌が必要不可欠なんです。だから、日本では麹菌が大活躍します。
海外・・・特にお米をあまり食べない国の発酵食品は、お米はあまり使いません。なので、日本の発酵食品の多くは麹菌が絡んでいますが、海外にはそんなに多くはないようです。
例えば、世界で大人気のワイン!ワインは結構単純で、すでにワインのもとになるブドウの中に単糖類である果糖が含まれているので、乳酸菌の大好物なんです。麹菌が分解してくれなくても特に問題なく、食べ物がいっぱいあるので分解の過程は、日本のお米を使った発酵食品よりは単純です。
単純な話、ブドウをつぶしておいておけば、野生の酵母が寄ってきて、ワインになってしまいます。オイシイかはわからないけども・・・。
例えば、世界で大人気のチーズ!チーズには乳糖と言われる糖質がたくさん含まれています。果糖は単糖類ですが、乳糖は二糖類で、単糖類であるブドウ糖とガラクトースでできています。だから、分解しなくても乳酸菌なら食べられます。だからやっぱり麹菌がいなくても大丈夫。
日本の発酵食品はお米や麦などの炭水化物を使うことが多いので、まずはでんぷんを小さくしなくちゃいけないということがとても難しく、高度な技を生み出した日本人はやっぱりすごいなと思ってしまいました。笑